グラビス・アーキテクツ株式会社は、中央省庁や地方公共団体など、公益公共機関の支援を通じて社会問題の解決を目指すコンサルティングファームです。


より良い社会への変革を推進していくために、グラビス・アーキテクツが大切にするコンサルティングのあり方と、ともに変革に取り組みたいメンバー像について、古見彰里・代表取締役が語ります。

■業務の領域と目的■

公共公益機関の支援でナンバーワンブランドを目指す

熊本市役所で行われた「エンゲージメントサーイの実施および人事施策検討に関する協定」の締結式

▼グラビス・アーキテクツの業務と支援の内容は?

 私たちは、デジタルとコンサルティングの組み合わせによって、国、独立行政法人、地方公共団体など公共公益機関を支援するコンサルティングファームです。これら組織に向けた支援を通じて多様な社会問題の解決に貢献し、公共公益の分野でナンバーワンブランドと認知されるコンサルティングファームを目指しています。

 公共公益機関に対して主にICT(情報通信技術)導入の企画や導入後の運用を一貫して支援し、公共公益機関の生産性向上や業務改善を行っています。支援先は北海道から九州の各地の公共公益機関で業務内容も幅広く、例えば、私が市政アドバイザーを務めている札幌市では、システム開発を担うパートナー企業とともに児童相談所の情報管理システムを改善したり、機械学習の仕組みを活用してケアワーカーの方々の負担軽減を行ったりしています。

 他にも、熊本市と一緒に取り組んでいる事例では、職員のエンゲージメントサーベイを開発し、彼らの働きがい向上や職場環境の改善を行っています。

▼公共公益機関の支援と社会問題の解決はどう結びつくか?

 公共公益機関が抱える大きな課題は、行政サービスの範囲が広がり続けていることです。例えば、時に自然災害への対応を求められ、他方で医療や介護といった社会保障問題の解決も求められます。近年では、独居老人の問題に起因してシニア世代向けの婚活まで行政が担うケースが出てきています。

 このような背景によって各機関の職員は過剰に忙しくなっています。人口減少によって生産年齢人口が減るほど、行政サービスの担い手の数は減り、公共公益機関の負荷がますます大きくなります。すでに一部の業務は民間企業への委託(BPO)が進んでいますが、業務過多による公共公益機関の疲弊を抑えるためには、民間企業の参画による業務のさらなる効率化が不可欠です。

 その道筋をつけることが私たちの役割の1つで、それにより公共公益機関は社会問題の解決に焦点を当てた行政サービスを提供できるようになります。

▼ICTは公共公益機関にどんな変化をもたらすか?

 ICTは、生産性向上を促進し、公共公益機関の自律的な成長を後押しします。現状は職員が煩雑な書類の手続きなどに追われているため、この業務をロボティクスやAI(人工知能)に置き換えることで生産性は大きく向上します。事務処理などは、スピード面でも人為的ミスを減らすという点でも人よりもデジタル化に向いている領域といえます。

 ただし、私たちのコンサルティングにおいてICTは手段の1つにすぎません。重要なのは、書類手続きなどをデジタルに置き換えると同時に、人を人にしかできない業務に携われるようにすることです。

 例えば、福祉分野の業務はホスピタリティが重要で、これらは人が携わるほうが良い業務です。現状は、福祉などに関わる高度な専門性を持つ人を非正規で雇用し、事務処理担当者を正規で雇用しているケースが多く、この体制を採用から含めて大きく変革していく必要があります。

ICT全体統制のコンサルティング内容

▼組織変革に向けてコンサルティングはどう役立つか?

 私たちは、スキルと価値観の認識を変えることが行政変革のセンターピンであると捉え、公共公益機関の中にマネジメントを担える人たちを増やしたいと思っています。現状に問いを立てることは人にしかできません。問題を特定したり、解決に向けた具体的な行動をとったり、そのための人材をマネジメントしたりすることができるのも人です。

 事務処理に終始している人たちがこのような業務に携われる体制に変えることや、事務処理の速さではなくマネジメントのスキルが大事であると認識させることなどは、コンサルティングによって実現できる変革だと思っています。

 また、そのための取り組みとして、リボルビングドア(行政と民間企業との間で、回転ドアのように人材が流動的に行き来する仕組み)のような人材交流の促進、行政に向けた人材の紹介や派遣、私たちとの協業を通じたマネジメントスキルの育成などにも力を入れていく予定です。

▼公共公益の領域は事業機会が多いか?

 組織体制や業務プロセスの点で行政はレガシーなビジネスに近く、業界特有の古い慣習が残っていることも多いため、コンサルティングによる改善の余地はたくさんあります。


 私は商社出身であるため、そういう機会に敏感なのかもしれませんが、実績として、ベンダー選定の方法を見直したり、コストを精査する仕組みを導入したりすることによって、ある自治体のコストを30分の1にした例もあります。コストの原資である税金の無駄使いを防げた経験は、私自身がこの仕事の価値と楽しさを実感した出来事の1つでもあります。

古見彰里(こみ・あきのり) グラビス・アーキテクツ代表取締役

1977年生まれ。商社に勤務後、2001年に朝日アーサーアンダーセン(現プライスウォーターハウスクーパース、PwC)に入社し、公共機関や民間企業に対する業務改革やデジタル化支援のプロジェクトを手がける。2010年、グラビス・アーキテクツを設立、代表取締役に就任。2008年より北海道大学経済学研究科にて非常勤講師を務め、「コンサルティング業務論」、「公共経営論」の講義を行う。2018年より独立行政法人国立公文書館のCIO補佐官、2019年より札幌市の市政アドバイザーを務める。


■会社と仕事の特徴■

規模を追求しない成長戦略で他社と一線を画す

▼社会問題解決におけるグラビス・アーキテクツの役割は?

 私たちのコンサルティング業務は実務として経営支援や業務改善を含みますが、それらは社会問題解決に向けたソリューションであり、私たちの存在意義を示すものではないと思っています。社会問題の解決に貢献していくために、私たちは従来の業務の枠にとどまらない起業家精神を大事にし、コンサルティングの限界を突破したいと思っています。

▼他のコンサルティングファームとの違いは?

 私たちと大手コンサルティングファームとの違いは、規模の拡大を目指していないことです。現在、当社所属のコンサルタント(公共コンサルティング事業部)は約50名で、コンサルティングファームとしては中規模です。

 引き続き優秀な人は積極的に採用しますが、100名にする、1,000名にするといった考えはなく、私たちの考え方や私たちが求める能力を持つ人がいなければ採用しません。大手は多くのメンバーを支援先に送り、頭数と単価と作業時間の掛け算で売り上げを伸ばします。

 一方、私たちは量ではなく深さを追求しています。支援対象を公共公益機関に絞っているのもそのためで、この分野のナンバーワンブランドとして認知され、成果に対してありがとうと言ってもらう丁寧な仕事をすることを重視しています。

▼働き方や報酬の面ではどのような違いがあるか?

 待遇面では他のコンサルティングファームとそれほど大きな違いはありません。マネージャークラスの報酬水準は「BIG4」と呼ばれる大手よりも少し高く設定していますし、働き方の面でも、コロナ禍以降の潮流を踏まえてリモート中心の働き方を取り入れ、メンバーそれぞれが自分で自由に決めています。

 違いとしては、支援先である公共公益機関が昨今の働き方改革の旗振り役であるため、業務の量や時間帯が常識の範囲を超えることはありません。実際、プロジェクトが佳境のときでも、各機関の終業時間である17時や18時を過ぎてから打ち合わせなどが行われることはなく、これは公共公益機関を支援している私たちの特徴といえます。

▼コンサルタントの働き方に違いはあるか?

 大手コンサルティングファームと比較すると、専門性のみならず総合力も重要です。大手は専門性を持つメンバーがチームとなって支援にあたることが多く、その集合知で成果を出します。各コンサルタントの視点から見ると、戦略立案、業界知識、IT技術といったそれぞれの専門性が求められ、自分の専門分野を十分に分かっていればコンサルタントとしての役目を果たしたことになります。

 私たちの業務は少数で支援しますので、それでは不十分です。ITの専門家が戦略についても十分に理解し、さらにはプロジェクト全体のマネジメント能力も発揮するなど、自分の専門性を磨くとともに、専門領域を超えて幅広い知識を持つことが求められます。各コンサルタントにとっては勉強の領域が広くなる大変さはあります。しかし、その分だけコンサルタントとしての価値が高まります。

専門性を磨くことはもちろん、総合力も求められる現場です

■求める人材像■

社会問題をライフテーマに掲げてともに解決に取り組みたい

▼私たちはどのようなコンサルタントを求めているか?

 「守・破・離」のプロセスを理解し、追求できる人を求めています。「守・破・離」は芸事における上達や成長の道筋を示すもので、人材育成にも通じます。

 「守」は、コンサルタントとしての基礎を学び、教わった通りに実行できるようになることを表します。「破」は、基礎を踏まえながら自分なりに勉強したり研究したりすることによって強みを創出し、そこでコンサルタント個人としての価値が生まれます。「離」は、学んだことと自分の価値を踏まえて、新しい挑戦に踏み出すことです。

 特に私たちが扱う社会問題は、問題そのものが複雑で「これ!」という分かりやすい解決策がありません。よりよい解決策を求め続けていくためには、「守」「破」で止まらず、成功体験を捨てて挑戦を続けていく「離」の姿勢が重要です。

▼「離」に進むためには何が必要か?

 公共公益の領域で活躍するコンサルタントは、複数ある社会問題のなかから自分事として関りたいテーマを見つけることが重要です。私はそれを「ライフテーマ」と呼んでいます。

 例えば、当社のメンバーの中には防災に関心を持っている人がいます。環境問題を解決したいと思っているメンバーもいます。仕事や人生のテーマを持ち、それを起点として、どんな社会を作りたいか、どういう状態が理想的か、自分にはどんな貢献ができるかを考えることが、コンサルタントとして「離」に進むことにつながります。

▼ライフテーマを持つことで仕事はどう変わるか?

 仕事のやりがいが高まるはずです。また、「これがやりたい」と手を挙げる自由を得るのであれば、その結果に対する責任も負う必要があります。課題解決に向けて粘り強く取り組み続ける責任がありますし、コンサルティングはCSR活動ではありませんので、事業としての収益に対する責任も発生します。

 知恵を絞って自分たちに手伝えるところを探し、事業として成立させていくことが、この仕事の難しさであり楽しさだと思います。

▼ライフテーマはどう探すのが良いか?

 社会への関心度を高めることが第一歩です。SNS時代に甘んじて匿名で意見を発信するのではなく、自分の顔と名前を出して意見を言うことで社会との接点が生まれ、それが関心を持つことにつながっていくと思います。

 応募する時や入社する時点では明確なライフテーマを持っていなくても良いのですが、仕事をしながら見つけていく意識は大事です。会社としてもメンバーそれぞれが自分のライフテーマを見つけられる職場にしたいですし、社会問題を扱っている私たちの仕事は、人生を通して取り組む自分だけのテーマを見つけやすいと思っています。

社員がライフテーマを見つけられる職場にしたい

▼それぞれのライフテーマを仕事と結びつける機会はあるか?

 私たちは、メンバーそれぞれのライフテーマを事業化していくことも会社の重要な役割だと考えています。

 例えば、前述したリボルビングドアのような人材の交流や育成もその1つですし、社内ではパブリック・アフェアーズ事業部を作り、メンバーそれぞれがライフテーマとして関心を持っている社会問題について、問題提起をしたり政策提言に結びつけたりする活動も推進しています。

▼ライフテーマを持つコンサルタントとともにどんな社会を実現したいか?

 大量生産と大量消費による価値提供の時代が終わり、これからの世の中は仕事の意味が問われる時代だと思っています。公共公益の領域に軸足を置く私たちの事業は、その意味を探し、見つけ、実行していく上で最良の場だと自信を持っています。そこに価値を感じてくれる人と一緒により良い社会をつくっていきたいと思っています。

公共公益の領域で、より良い社会をつくっていきたい仲間を募集しています