事例・対談でわかる
社会問題の解決アプローチ
SDGsが地方創生のカギ!
自治体が取り組むべき意義と推進ステップ

自治体がSDGsを推進するメリットとは?
「SDGs」は2015年に国連総会で採択された、持続可能でよりよい社会をつくるための17の国際目標です。日本でも内閣総理大臣を本部長とした「SDGs推進本部」が設置され、8つの優先課題が示されており、自治体にも課題解決のための取り組み実施が期待されています。自治体のSDGs推進は次のようなメリットも期待できるため、組織をあげて取り組むことがおすすめです。
【メリット1】
SDGsの取り組みが住民・企業へのアピールに
主体的にSDGsを推進することは、自治体が抱える課題の解決にとどまらず、社会課題に積極的に取り組んでいることをアピールするきっかけとなります。市民や将来的に市民となりうる人、企業に対して、自治体の価値を示すことで、人口減少の課題解決効果も期待できます。

【メリット2】
財政面のメリットも期待できる自治体SDGs
また、自治体のSDGs推進には、さまざまな国の交付金や補助金が用意されています。特に、「SDGs未来都市」として国に認定されていることが受給要件または優遇要件とされている制度もあり、自治体がSDGsを取り組みやすい環境がみられます。
【解説】SDGs未来都市とは?
自治体によるSDGsの積極的な推進を目的とした政府の枠組みです。経済・社会・環境のバランスが取れた取り組みで、新たな価値創造を提案した自治体が認定されます。認定を受けることで成功事例として国内外に発信されやすくなり、ステークホルダーからの注目を集めることや新たなビジネスチャンスの創出などが期待できます。
また、地方債市場においてもSDGs・ESG債の発行額は近年増加傾向にあります。特に2023年度は地方自治体によるグリーンボンド(環境債)の共同発行が初めて実現する見通しで、SDGsの取り組みが安定的な資金調達につながることも期待できます。
自治体内でSDGsを推進する
4つのステップ
【ステップ1】
SDGsで取り組む課題を決める
企業の場合はコアビジネスが直接関係する社会課題から、自社が掲げるマテリアリティ(重要課題)を選定していく方法が良く取られますが、自治体では総合計画などに掲げている自地域の社会課題に関連したマテリアリティを掲げることをおすすめします。自組織がどのように社会に影響を与えているか、どのような社会課題を抱えているかなど、各課題について自組織と社会の関連性を分析してマテリアリティを選定しましょう。
【ステップ2】
SDGsで具体的に実施することを決める
次に、策定したマテリアリティの解決に向け、自組織が具体的に取り組めることを洗い出し、実施項目を選定しましょう。この時、組織内での実施難易度やステークホルダーへの影響を踏まえて優先順位をつけると、スムーズに意思決定できるだけでなく、ステークホルダーからの理解も得やすくなります。また、取り組みの効果を定量・定性的に測れるか想定し、組織内での浸透・取り組みをスムーズに進めていくためにも、各幹部が知りうる形で意思決定しておくことも大切です。
【ステップ3】
組織全体でSDGs推進に取り組む
「誰一人取り残さない」を掲げているSDGsの取り組みは、SDGs担当部署が中心となって組織全体に浸透させていくことが大切です。マテリアリティへの対応において中心となる部署とは、具体的な取り組み事項やKPI設定からSDGs担当部署が一緒になって進めていきましょう。
同時に、組織全体でもSDGsの取り組みを推進できるよう、各部署それぞれの目標と取り組み事項を設定しましょう。マテリアリティ以外の取り組みは、各部署受け持ちの業務に関連するものだけでなく、例えば環境に配慮したオフィス設備への変更やSDGsに関する研修会の実施など、日頃の業務と並行して取り組めるものがおすすめです。
また、トレンドに対応しつつ幅広く施策を実施するなら、アドバイザリの登用や民間企業との連携も視野に入れることも有効です。
【ステップ4】
組織的なSDGs推進のため、フォローアップする
SDGsを組織単位で進めていくためには、職員のSDGsの推進へのモチベーション維持が重要になります。ほとんどの職員にとっては「SDGsの取り組み=仕事が増えてしまう」という発想に繋がりやすいため、定期的に振り返りや報告会などを行い、何のために取り組んでいて、どういう成果を出しているのかなどを組織内に浸透させていくことが重要となるでしょう。
また、「SDGs未来都市」の認定取得も、職員のモチベーション向上につながることが期待できます。併せて、マテリアリティ設定の経緯や取り組み方針、実際の取り組み状況などを踏まえ、広報紙やWebサイトで対外的な発信を行い、ステークホルダーからの認知度を向上させることも、SDGsの推進には有用です。
【まとめ】
SDGsで地方創生を実現する
SDGsに取り組んで成果を積み上げ、その内容をアピールしていくことは、国連・国が掲げる目標に沿うだけでなく、自地域の住民のQOLを向上させ、住み続けるうえでの魅力を高めることにつながります。すなわち、SDGsへの取り組みは「自治体の付加価値を生み出す取り組み」と言えるでしょう。
より地方創生につながるSDGsを推進するために、自治体内部だけではなく、市民や企業など広範なステークホルダーを向いた目標設定と取り組みを検討してみませんか。